私は、日々たくさんの方々からチームビルディングやマネジメントに関する相談を受けます。
そのほとんどが、採用がうまくいかない、スタッフがすぐに辞めてしまう、
などという会社経営にとって致命的とも言える内容が非常に多く、毎日頭を悩ませます。


その中でつくづく感じていることは、組織にとってディフェンス面の強化がとても大切だということです。
マネジメントに課題を抱えているほとんどの会社の特徴として、ディフェンス面が脆弱な傾向にあります。

それは、例えば、入社してもすぐに退職してしまったり、成長意欲のないスタッフがたくさんいたりなど、社内エンゲージメントが低いケースです。
その理由の一つとして、オフェンス面ばかりに社内リソースを投下していることが要因と言えます。
私が考えるオフェンスとは、スタッフ採用だったり、患者・利用者の獲得だったりと、まさに攻めの部分です。

しかし、チーム力を向上させるために、まずはディフェンス面をしっかりと強化する必要があると考えます。それはつまり、社内エンゲージメントを高めると言ったことです。

私は、実は高校へは野球の特待生で入学したという学歴を持っているので、野球からチームマネジメントをたくさん学びました。

例えば、プロ野球では、3割バッターのことを強打者と言います。
10回のうち3回ヒットを打てば素晴らしいバッターだと言われるのです。
しかし、逆説的にいうならば10回のうち7回は失敗するのです。
オフェンス面では、そのほとんどが失敗をするという事実があります。
これは、組織で言うならばとても不安定なことと言えます。
攻めることとは、失敗することなのです。

一方、ディフェンス面では一試合の中でエラーというのはほとんどありません。
バッターが打ち損じてくれれば、基本的にはアウトを得られます。
つまり、とても安定しているのです。

このように、オフェンス面とディフェンス面を比べたときに、どちらが安定しているかというと圧倒的にディフェンス面といえます。
よって、チームマネジメントがうまくいっていない事業所ほど、早急にディフェンス面を強化する必要があります

では、具体的にディフェンス面とは一体どんなことなのでしょうか。
それは、一言で言うならば社内コミュニケーションです。
社内コミュニケーションを活性化させることがディフェンス面においてとても大切です。

それはつまり、個別面談の時間をしっかり取り、スタッフが何かに困っている際にはタイムリーに話を聞く環境を構築することです。
また、「ありがとう」という言葉が自然に飛び交うチームになるためにサンクスカードなどを積極的に活用することも強くオススメします。

仮に、ディフェンス面が強化されないまま新しい取り組みをしても、社内エンゲージメントが低いままなので結果としてチーム力がないため、そのほとんどのプロジェクトは成功する確率は低いといえます。
このように、徹底的に社内コミュニケーションを充実させることは、ディフェンス面の強化に直結します

そして、もう一つ大切なことを忘れてはいけません。
それは、ディフェンス面の要と言えるピッチャーの調子が悪ければチームも安定しないということです。
つまり、不安定なピッチャーをマウンドに上げては絶対にいけないということです。
これは、打たれたりフォアボールを出すピッチャーが悪いのではなく、調子の悪いピッチャーをマウンドに送り込む監督の采配ミスです。

そうならないために、私たちはいつだってコミュニケーションを可視化して、調子の良し悪しを誰もが理解をした上で知的にコミュニケーションを図ることが大切です。

もちろん、誰にだって調子の良い時や悪い時は必ずあります。
その時に、カバーし合えるチームを作るためには、チームの状態が可視化できる体制を常時作っておくことがとても大切です。

ついついスタッフを採用することや利用者さんを獲得することだけに目がいきがちになってしまいますが、ディフェンス面を強化することこそがチーム力を向上させる近道と言えます。

オフェンス面はもちろん、ぜひディフェンス面の強化を積極的に図っていってみてください。