介護職の感情との向き合い方

介護職は「身体的な負担が大きい仕事」というイメージがあるかもしれませんが、実は感情をコントロールして働く感情労働の側面も非常に大きい仕事です。

感情労働とは、仕事の一環として感情をコントロールし、相手に適切な感情表現をすることが求められる労働のことを指します。

介護職の他にも看護師や教員、コールセンターのオペレーターやホテルのコンシェルジュ等対面・声などで他者との関わりがある仕事は感情労働と言われています。

介護職はなぜ感情労働と言われているのでしょうか。

主に3つ理由を挙げてみます。

① 利用者様と密接に関わるため

介護の現場では、利用者様の身体的なケアだけでなく、日々の会話や心のケアも求められます。利用者様の認知症の症状や、身体的な不調により、理不尽な言葉をかけられたり拒否されることも多い仕事です。しかし、このような場面でも怒りや悲しみ等の感情を抑えて日々対応しなければなりません。

② 家族対応の難しさ

利用者様ご本人だけでなく、ご家族様とも関わる機会が多く、「もっと丁寧に対応してほしい」「うちの親にはこうしてほしい」など、感情的な要求をされることもあります。そのような場合も感情を抑えて冷静に対応しなければなりません。

③ スタッフ間の人間関係

介護の現場ではスタッフ同士の連携が大切ですが、人手不足や業務の忙しさから、スタッフ同士のコミュニケーションがうまくいかず、それがストレスになってしまうことも多々あります。

このような理由から、介護職は感情労働であると言われています。
ご利用者様のために、感情をコントロールして働くことは大切ですが、感情労働によりストレスを溜め込んでしまうと、燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)になる恐れもあります。

燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)とは

燃え尽き症候群とは、「それまで人一倍活発に仕事をしていた人が、なんらかのきっかけで、あたかも燃え尽きるように活力を失ったときに示す心身の疲労症状をいいます。主要症状として、心身の疲労消耗感のほか、人と距離をとり感情的接触を避ける、達成感の低下などが認められています。精神医学的にはうつ病と診断されることもあります。」
引用元:燃え尽き症候群:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

特に頑張りすぎてしまう方は、燃え尽き症候群になりやすいと言われているので日頃から息抜きをすることが大事です。

ストレスを溜め込まないように

仕事のストレスが溜まってなかなか解消できない方や、なんか最近疲れたなと感じる方はぜひこれらを意識してみてはいかがでしょうか。

① 感情を溜め込まない工夫

• 同僚と話す 些細なことでも気持ちを共有することで、もやもやが晴れることもあります
• 上司に相談する 一人で抱え込まず、解決できない悩みは早めに相談してみてはいかがでしょうか
• 気持ちを言語化する 日記やメモに思ったことを書き出すことで頭の中がすっきりします

② 仕事とプライベートの切り替えを意識する

• 仕事のストレスを家に持ち帰らないように、趣味やリラックスできる時間を作る
• 介護の仕事は「チームでやるもの」と意識し、一人で抱え込まない

③ 「感情労働」への理解を深める

感情労働をしている自分を責めず、「これは仕事の一部なんだ」と割り切ることも大切です。時には自分のメンタルを守るために、適度な距離を取ることも必要です。

介護職はもっと感情労働を意識していい

介護職は身体的な負担はもちろんですが、感情労働としての側面も大きい仕事です。だからこそ、「自分の心を守ること」も仕事の一部だと考え、適度な息抜きをしながら働くことが大切です。利用者様に寄り添うことも大切ですが、自分の心も大事にしてくださいね。