介護事業所におけるスタッフ同士のコミュニケーションの重要性(なぜ今、社内コミュニケーションが大事なのか)

介護事業の運営において、大きな悩みの一つとして、「人財」に関することが挙げられます。
例えば、
・採用したけれど、すぐに辞めてしまう
・社内コミュニケーションがぐちゃぐちゃ
・スタッフがいつまでたっても育たない
・そもそも求人広告を出しても、応募すら無い

など、「ヒト」に関する悩みは尽きることはありません。
これらの問題は、どれも「社内コミュニケーション」に原因があると言えます。

チームでいうコミュニケーションとは、人体で言うならば血流そのものです。
血流が潤沢に循環しなければ体調不良を起こしてしまうのは当然であり、それは組織でも全く同じことが言えます。
社内でコミュニケーション不良を起こしてしまうと、「早期退職」や「定着率の低下」だけでなく、ご利用者や求職者から「選ばれる事業所」とは程遠い存在になってしまいます。
すでに介護市場が成熟し、飽和状態にある介護事業において、スタッフ一人ひとりがクリエイティビティを発揮しなければ、組織がどんどんと衰退してしまうことは安易に想像できると思います。

選ばれる事業所」になるためにも、社内コミュニケーションを向上させることが何よりも大切な時代になったと言っても過言ではないでしょう。
そのため、人財に関するお悩みを抱えている事業所がまず最初にやるべきことは、社内コミュニケーションを活性化させ、チーム力を向上させることが第一歩と言えます。

真のコミュニケーションとは

皆さんは、「コミュニケーション」という言葉をどのように定義付けしていますか。
コミュニケーションという言葉を普段から当たり前に使っているだけに、その言葉の本質を理解している方は実は多くないかもしれません。
介護事業所で働いている方にとって、「相手の気持ちになって物事を考えよう」という言葉は、必ず一度は耳にしたことがあると思います。どの法人さんでも常に飛び交っている言葉ですね。
ですが、「相手の気持ちになって考える」という行為は、実は非常に難しい行為だと言えます。
なぜなら、「気持ち」というものは感じ取るものであり、人の目に見えるものではないからです。
一見して、怒っているように見えて実は上機嫌だったり、あるいは悲しい気持ちを抱えているのに笑顔でいることでその感情を理解してもらえなかったりと、「伝える側」と「捉える側」にギャップが生まれてしまいます。
このように、日頃から推測の中でコミュニケーションが行われてしまうため、実はこれこそがミスコミュニケーションの起因となってしまいます。
仮に、誰もが「相手の気持ちになって物事を考える」ことが出来たならば、どの事業所も「ヒト」に関する悩みなど抱えずに運営することができているはずです。
しかしながら、たったこの一言に集約されたこの言葉が介護現場で日常的に飛び交っているにもかかわらず、なぜかコミュニケーションが活性化されないのには何かしらの原因が明らかに存在しているから他なりません。

そこで、私はコミュニケーションを「自分を知り、他者を理解すること」と定義しています。
いきなり他者を理解するのではなく、まずは自分自身をしっかりと理解することが第一歩だと考えています。
なぜなら、自分自身のことを理解していないにもかかわらず他者を理解することなどできるはずがないからです。
そのためには、まず自分自身についてしっかりと理解することが大切です。自分という人間は、どういうことが好きで、どういうことに怒れてしまうのか。これを理解することは、とても大切なことです。

稀に、入居施設においてスタッフが入居者を虐待してしまうという悲しいニュースを耳にすることがあります。
これは、その大半はスタッフ本人に問題があると言えると同時に、施設側のマネジメントにも大きな問題があるとも言えます。なぜなら、自分自身を理解する前に他者理解のみが推し進められてしまうことで、「自分」を理解できないまま仕事をすることになります。
そうなると、怒りや悲しみを解放することができないからです。

スタッフ個人が抱える怒りや悲しみが解決できないままに組織改革が進められてしまうと、過去のわだかまりが組織の中に蓄積されることになります。
すると、次第にネガティブな要因のみが蓄積され、結果としてそれが爆発してしまうと大きな事故や事件に繋がってしまいます。
つまり、現場で飛び交う「相手の気持ちになって考えよう」は、ある意味正解である意味では間違っています。
まずは、自分自身を見つめる機会を上司や仲間と定期的にきちんとつくり、その上で他者理解を行うことが何よりも大切だと言えます。

なぜコミュニケーションが複雑化しているのか

そんな中で、介護現場でのコミュニケーションはとても複雑化してきていると言えます。

例えば喫茶店の場合は、目の前のお客にコーヒーをお出しし、満足してもらうことがとても大切です。
コーヒーの味はもちろん、言葉使いなどの接遇もとても大切で、それらが顧客満足度を左右させます。
つまり、「今、目の前のお客様」に対して最大限に喜んでもらうことが目的です。
喫茶店で行われるコミュニケーションの量は、お客⇄ホールスタッフ⇄厨房スタッフという三者間のみで行われるため、クレームのほとんどがヒューマンエラーと言えます。

一方、介護事業所におけるコミュニケーションというのは多職種が連携して成立しています。
さらには、ご利用者だけでなく、そのご家族の生活においても包括的にサポートする必要があり、これは喫茶店では絶対にあり得ないほどのコミュニケーションの量です。
しかも、非常に難しい専門用語だったりカタカナ用語だったりと、普段からその専門職しか使うことのない用語が現場では当たり前に飛び交っています。

WCという略字についても、トイレをイメージする人もいれば、ワールドカップという言葉をイメージする人もいるでしょう。それくらい私たちにとって当たり前の言葉一つひとつが、実際の介護現場でもコミュニケーションを複雑化してしまいます。
そうなると、次第にミスコミュニケーションが生まれやすくなってしまいます。

これがまだ小規模な事業所ですと、スタッフと入居者・ご家族との心理的距離が近いため「アットホームな環境」でリカバリーできる場面が多々あります。
小規模という特性を生かした家庭的な雰囲気の中で相互にラポール(信頼関係)を築きやすくなります。
このラポールというのは、関係の頻度によって大きく左右されます。ご家族の立場からすると、例えば年に一度しか合わない経営者よりも、月に1度は会うスタッフとの方がラポールを構築することがしやすくなります。いつも同じ顔ぶれというのは、安心感へと繋がるのです。

しかし、これが大規模な事業所ですとそうもいきません。
クレームやミスコミュニケーションが発生した際、多職種が関わっているため一体どこにその起因があるのかが不明瞭になってしまいがちです。曖昧な原因しか分からないために、さらにクレームやミスコミュニケーションを助長させてしまいかねません。

そのためには、コミュニケーションの量は然り、質を向上させることがとても大切です。質を向上させるためには、介護現場から「曖昧」を取り除いていく必要があります。この「曖昧」が多ければ多いほど、介護現場でのコミュニケーションに弊害が出やすくなります。

コミュニケーションが良好な場合と不良な場合

クレームの質の変化

では、社内コミュニケーションが悪く、潤滑に血液が循環していない状況だと、組織はどうなってしまうのでしょうか。
・離職率が高くなる
・採用してもすぐに退職してしまう

などは安易に想像できると思います。
しかし、それ以上に恐ろしいことが起こります。それは、組織の中に恐怖が蔓延するということです。

社内コミュニケーションが悪いと、組織は未熟なままです。
未熟なままだと
・スタッフ同士の探り合い
・うわさ話
・ケンカ
・隠ぺい

が行われる風土になってしまいます。
そうなると、社内で自分自身の居場所が無くなり、存在意義が感じられなくなってしまいます。
相談したくても出来なくなり、もしかしたら自分もいつか標的にされてしまうのかもしれないという恐怖の中で仕事をすることになります。
言った言わない、聞いた聞いてないなどの子どもの世界(チャイルドワールド)になり、悪いところばかりを指摘し合う風土になってしまうでしょう。
「なんでそんなこともできないの?」などと、原因を追求するだけに留まらずスタッフ個人を批判することは、いつまでたっても未熟な組織のままであることを象徴し、組織に恐怖を埋め込むことになるため、残念ながら組織力の成長は見込めません。
先述の通り、これだけ介護事業所が飽和し、クリエイティビティを発揮しなければ生き残っていけない時代に突入したにも関わらず、組織の中に恐怖が1ミリでも存在すると、クリエイティビティが発揮できなくなってしまいます。そうなると組織はあっという間に衰退してしまいます。
ここ最近では「心理的安全性」の重要性が謳われていますが、その所以となる根拠がこれです。

一方で、社内コミュニケーションが良好だと、それは素晴らしい組織になります。
組織において、コミュニケーションのベースは「報告」です。
この報告の量と質がともに向上することは、組織の活性化に繋がります。なぜなら、一人ひとりが考え行動することができるようになる
からです。
組織に恐怖がないため、いつもどんな時にも躊躇なく報告というコミュニケーションが活性化します。
「○○してくれて、ありがとう」という風土の中で仕事ができるため、過去の反省から未来を向いていけます。それは、クリエティビティを存分に発揮することでこの大変な時代でも新たな成長曲線を描き、付加価値をつけた素晴らしいサービス提供へとつなげることができます。まさに、組織力が向上するのです。
だからこそ、今の時代において最も大切なのは、社内コミュニケーションの充実と組織力の向上なのです。

社内コミュニケーションを育む3つのステップ

では、実際にどのように社内のコミュニケーションを育んでいけばよいのでしょうか。

①安心できる環境の構築
②価値観の浸透
③システム化

ステップ①:安心できる環境の構築

組織のコミュニケーションが悪いと、ついつい「経営理念を掲げよう!」だとか、「行動指針を作ろう!」などと豪語してしまいがちです。しかし、残念ながらこれが組織崩壊に拍車をかけることになります。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、経営理念が不必要と言っているわけではありません。
大事なのは、その順番なのです。
組織マネジメントというのは、子育てと非常によく似ています。
私たちに子どもが生まれた際、まずは愛情を120%注ぎます。そして、家庭内において安全・安心・安定できる環境をつくります。
子どもにとって「自分は愛されているんだ」とか「ここにいても大丈夫なんだ」と安心できる環境を徹底して構築することが、子育ての大前提です。いきなり「上手におっぱいを飲め」などと言いませんよね。
それは、組織においても全く同じことが言えます。その安心できる環境は、組織の土台とも言えます。その土台がないまま組織改革をすると、組織に恐怖が蔓延し、組織の混乱に拍車がかかります。なぜなら、ちょっとミスをしただけで批判の嵐を受けるのでとてもクリエイティブな言動ができなくなるからです。
そこで、今すぐぜひ実践していただきたいことが2つあります。
1つめはサンクスカードの活用、2つめはバリデーションサークルです。

1:サンクスカードの活用

一般的にサンクスカードとは、仕事の中で感じた感謝を名刺サイズのカードに書いて送り合う取り組みです。
私が行っている方法は、非常にシンプルです。仲間が素晴らしい対応をした時に、その場でシールを貼ってあげるのです。
例えば、「今の電話対応、すごく優しかったね。はい、シール」「今、すごく元気に外出先から戻ってきたね。元気がもらえる挨拶は気持ち良いね。はい、シール。」と言った具合に、とにかくその場で相手が取った行動を承認してあげるのです。たったこれだけです。
そうすると、シールを受け取った側は嬉しくなるので、その良い行動を繰り返し行うようになります。一方、シールを送った側は仲間の良いところを探そうと努力します。結果として、「なんで言われたことを出来ないの!」という原因を追求するスタンスから、お互いがお互いに感謝するスタンスへと180度変革されます。

また、先輩が後輩に介護技術を指導したとします。
後輩は先輩に感謝し、サンクスカードにシールを貼ります。すると、シールを送った後輩も受け取った先輩も「ありがとう」と言います。この瞬間、「介護技術を指導した」という1つの事象に対して、2つの「ありがとう」が生まれます。
これが、物凄い効力を持って組織を活性化させます。相手を承認する環境を徹底して構築することが、社内コミュニケーションの活性化には欠かせません。この風土があるだけで、安心できる環境の構築に大きく寄与します。

2:バリデーションサークル

承認する環境として欠かせないのが、このバリデーションサークルです。「承認の和」とも言い換えることができます。
スタッフが何か素晴らしい取り組みをした際や表彰に値するとき、皆の前でその方を囲んで「○○さん、生まれてきてくれて本当にありがとう。なぜなら、○○だからです。」と伝えてあげましょう。これは、相手の存在そのものを承認することになりますので、子育て同様に愛を伝え、安全な環境の構築にとても大きく貢献することでしょう。
スタッフが誕生日を迎えた時に、このバリデーション(バースデー)サークルをやっても良いでしょう。涙を流し、喜んでくれるスタッフもたくさんいるはずです。
仮に、「生まれてきてくれてありがとう」と伝えるのが恥ずかしいようであれば、「○○さんと一緒に仕事ができて嬉しいです」と伝えるようにしましょう。徹底して「存在そのもの」を承認することがとても大切です。

これが、組織風土として構築されれば、求職者の応募も自然と増えるはずです。
こういう温かい雰囲気があるか否かは、求職者のみのならずご利用者が選ぶ際にとても大切な指標の一つとなるでしょう。

ステップ②:価値観の浸透

組織内で安心できる環境が出来上がってくると、次なる課題も出てきます。その際、「価値観の浸透」というフェーズが欠かせません。
企業における価値観とは、まさに企業理念や行動指針のことです。
この価値観が浸透していないと、スタッフ一人ひとりがバラバラに行動することになるので、まとまりのないチームになってしまいます。
そのためにも、クレドというものを活用すると良いでしょう。クレドとは信条という意味で、行動指針としても活用できます。

その際、抽象的な言葉ではなく具体的な言葉にて表現することが大切です。
例えば、私が経営する会社でのクレドの中には、以下のようなものが存在します。
「私たちは、チームワークを重視します。チームメンバーは尊敬できる友人です。友人が困っているときには、進んで協力します。友人が困っている際、「大丈夫?」という聞き方ではなく、例えば「最近何か疲れている様子だけど、何か困ったことはある?」という聞き方をします。そして、仲間の話は最後まで聞き、常に寄り添います。」
というものがあります。

このようにかなり細かく、他者への話し方までを行動指針に落とし込んでいます。こういう話し方ができたスタッフがいれば、その場でサンクスカードのシールがたくさん貯まることでしょう。こうして、良い習慣のみが自然とループするようになります。

そして、必ず定期的にこの価値観を皆で読み、どのように行動に移していくのかをアウトプットする機会を作るようにしましょう。価値観は、アウトプットすることが何よりも重要です。特にオススメなのは、毎朝朝礼でクレドを読みあげ、そのクレドに対してどのように1日を過ごしていくのかを発表すると良いでしょう。くれぐれも、理念を唱和して終わりのないようにしてください。これは時間の無駄でしかないので、徹底してアウトプットすることを目的としてください。
ただし、事業所における価値観は千差万別ですので、その価値観をどのように表現するかは事業所の価値観や規模感・成熟度によって大きく異なるでしょう。
そして、経営者からスタッフまで一体となってこの価値観を実行することは、運営で迷った時の道しるべとなってくれるはずです。
困った時に頼れる存在が、このクレドや行動指針であり企業理念なのです。事業所の価値観を浸透するために、ぜひ行動指針や理念を見つめ直す機会を作ってください

ステップ③:システム化

そして、次にシステム化です。
システム化する目的は、たった一つです。それは、生産性の向上です。ステップ①・②でやってきたことをシステム化することで、生産性の向上に大きくつながります。
その際に注意しなければならないのは、今までやっていた非効率なやり方をシステム化しないことです。もし、そのようなことをやってしまうと、非効率なやり方に拍車がかかってしまい、もっと組織が混乱することになります。
そのために、どんどんマニュアル化を行い、いつでも誰でも一定の仕事の質を確保することが何よりも大切です。
そして、価値観に基づいて行動しているスタッフを正しく評価する仕組みが必要になります。人事評価についても、半年に一度では遅すぎるため、とにかく高頻度で行う仕組みが欠かせません。
間違ってもいきなり組織をシステム化してしまわないように、プロジェクトチームを発足した後にシステム化するようにしましょう。

私たちリーダーの重要な仕事として、スピードを持って正しく部下や仲間を教育する必要があります。そのため、組織内にいるスーパーマン的存在の力に依存するのではなく、マニュアルの活用と人事評価を活用し、誰でも最低限のスキルと技術をスピードを持って身につける必要性があります。
仮に、「誰か一人が抜けたら現場が回らなくなってしまった」ということがないようにしなければなりません。

ミスコミュニケーションを防ぐ3つの方法

そして、システム化する際に徹底して以下の3つにこだわりを持って行うことが大切です。

①見える化
②共通言語化
③劣後順位化

①見える化

様々な場面で見える化する必要があるでしょう。
特に、時間管理や物品管理、財務管理などは定量的に見える化することができます。これらは、分析に役立ちますので、事故予防などのリスク管理へと繋げることが可能になります。定量的な見える化は、非常に分かり易いために、事業所においても導入へのハードルは低いと言えます。

一方で、数字で測れない定性的なものも存在します。それは、「人の感情」です。
相手が今、怒っているのか喜んでいるのかは、推測することしかできません。数値で表すことができないためにミスコミュニケーションが生まれやすくなります。そこで、人の感情がきちんと把握できるように、見える化することが大切です。そのためには、感情を表現して共有することができるソフトやアプリを活用することをオススメします。これらを活用し、感情が見える化できていると、「あのスタッフが悲しんでいるようだ」「何か怒っているみたいだけど、何かあったのかな」というコミュニケーションのきっかけ作りにもなります。
それを知らないまま過ごすと、スタッフが突然辞めたいと言い出し、全てが後手に回ってしまいます。
それらを避けるためには、とにかく定性的な「人の感情」を見える化できるようになると、社内コミュニケーションは充実し、組織力が向上します。

②共通言語化

次に、この共通言語化です。
例えば、「見守り」という言葉があるとします。この見守りという言葉に対して、役職や職種によって解釈が変わってしまうとミスコミュニケーションが生まれます。
仮に、「見守りをしておいて」という指示があったとします。すると、ただ単に見守りをする人もいれば、その方が転倒しないように安全を見守る人もいます。あるいは、認知症が進行していないかという視点で見守る人もいます。すると、職種や経験等によって実行される内容に大きなギャップが生まれるため、その指示がとても曖昧なものになってしまいます。
仕事とは、曖昧に指示されるものであってはいけません。しかし、このように共通言語化できていないと、コミュニケーションが育めないどころか、事故や過誤に繋がりかねません
シュチュエーションや職種等に合わせて、言葉の一つひとつを共通言語化することが大切です。

③劣後順位化

最後に、劣後順位化です。あまり聞き慣れない言葉だと思います。この劣後順位というのは、優先順位の逆の言葉です。
優先順位とは今あるものの中なら「何をやるか」を選ぶことですが、劣後順位とは「何をやらないか」と選ぶことです。
クリエイティビティを発揮しなければ、事業所が衰退することは何度も伝えてきました。しかし、何か新しいことをはじめようとするとき、ただでさえ今の仕事量でも精一杯なのに、さらに仕事が増えることになります。もともと100ある仕事量に対してさらに20が増えるので、120の仕事量になってしまいます。これでは、誰でも疲弊するのは当然のことです。
そうならないためにも、もともとやっている100の仕事から20の無駄を省き80にしておくことで、新しいことを始める準備を整えることが大切です。そして80にしたうえで、新しい20を足すようにすれば、オーバーワークにならずに済みます。しかも、無駄なことを無くしたので生産性も向上します。

何か新しいことを始める前には、徹底して劣後順位化することから始めましょう。
そして、次世代のリーダーである私たちは、スタッフに無駄なことをさせないということも大切な報酬の一つだということを忘れてはいけません。

大人数での会議を1回やるよりも、少人数での会議を複数回やる

大間違いの組織マネジメント

社内コミュニケーションを活性化させる取り組みには、コミュニケーションの質と量の両方を向上させる必要があります。
そこでとても大切なのが、大人数で会議を1回やるよりも、少人数での会議を複数回やるということです。

会議やミーティングなどで、スタッフが集団で集まる場面というのはどの事業所でも必ずあると思います。
その際に注意することは、集団の母数を6名までにするということです。7名以上の集団になってしまうと、もはやコミュニケーションが希薄のものになってしまい、ミスコミュニケーションの起因になってしまいます。
例えば、社員会議を行なったとします。その際、10人のスタッフを一度に集めるよりも、5人チームに分けて2回行う方が圧倒的にコミュニケーションの質が向上します。

コミュニケーションの質を担保するには、6名までが限界です。それ以上の集団になると、90%以上のスタッフは「他人事」として受け身の参加になってしまいます。そうなると、会議としての生産性は向上するどころか非効率になります。しっかりと会議として成立させるためには、6人という数字を限界値としてください。

これは、会議の場面だけではありません。ご利用者さんとの関わりにおいても同様のことが言えます。
例えば、1ユニット10名の施設などは、10名を一斉にみようとするために大変になってしまう傾向にあります。
しかし、5人チームを2つ作ることでとてもスムーズになる場面が確かに存在
します。
日本とは違い、ドイツの認知症グループホームは1ユニット6名定員です。それは、まさにコミュニケーションを充実させるために「6」という数字に執着している証拠なのです。

現場において集団で活動する場面がある際は、ぜひ「6」という数字にこだわり、社内コミュニケーションを活性化・充実させましょう。

まとめ

市場が成熟している今、スタッフ一人ひとりのクリエイティブな発想や言動が欠かせません。
そのためには、組織から恐怖を取り除き、個人と組織の両輪が共に成長できる環境を構築することが急務と言えます。
なぜなら、個人の力を組織の力に変えていくことができる事業所ほど、いつの時代も「選ばれ続ける」ことができるからです。
つまり、ご利用者へのハートフルなサービス提供へと繋げるためには、社内コミュニケーションを充実させ組織力を向上させることが、最も大切だと言えます。

そして、私たちの目の前にいる方の笑顔を守るために、まずは「自分を知り、他者を理解する」ことから始めてみてください。

それこそが、コミュニケーションの真髄といえます。

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