これまでの記事で
①心理的安全性とは
②心理的安全性を阻害する4つのリスク
③心理的安全性が高まることで期待される7つのメリット
についてお話してきました。
前回は、「心理的安全性」が高い場で起こる7つのメリットについて、「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンドソン著)からご紹介しました。
さて、今回はこの「心理的安全性」が高い場で起きた実際の出来事として、私たちのチーム「よさがみえるラボ」でのことを取り上げます。
自分たちの話を中心にして少し恥ずかしいのですが、実際にあったことをお話することで伝わることも多いかと思い、紹介します。
あるプロジェクトに参加することになった際、初対面の人たちがチームを組むとなった状況が周りに沢山起こりました。
その際、私たちが提供しているコンテンツが、新しいチームを作る場面で役に立つと思うから、それについて具体的に考えようという話が、よさがみえるラボの中で出ました。
私以外のメンバーは、そのアイディアにとても乗り気で、「今から最速で空いている会場を抑えて、次は告知をして…」とどんどん盛り上がって話を進めていました。
その時私は、「それもいいけれど、今私たちがやるといいことはチームをこれから作るためのサポートではなく、今あるチームをサポートすることだ」と思っていました。
今提供しているコンテンツは「既にあるチームの心理的安全性を高めるためのもの」の意味合いが強いしそちらで実績もあるから、そちらに注力したいし、その方がより多く貢献できる、と。
でもそれを言うのには勇気がいりました。
私以外のメンバーは、すでにやる気満々で具体的なところ(会場をもう探して空き状況を調べていました)を進めている。
日程調整もし始めている。
何よりアイディアとしては確かにいいし、やってみたい気持ちもある。
ここで私が「ちょっと待って」ということは、この流れに水を差すことになってしまう… と。
心理的安全性②で説明した4つのリスクのうち
「③ネガティブだと思われる不安」と
「④邪魔する人だと思われる不安」
が、瞬時に立ち上がってきて、自分の意見を言うのを躊躇しました。
それでも、私たちのチームでは心理的安全性を高めているという自負もあったため、私の不安とともに「今大切なのは、新たなコンテンツを始めることではないでのは…」という意見を言いました。
私の意見は、他の人の意見と正反対のものでした。
みんな:やる
私:やらない からです。
さて、ここからどうなったでしょうか。
まず、私以外のメンバーは私の意見を否定せずそのまま聴いてくれました。
そして、私の不安だったという気持ちも「そうだったんだね」と受けとめてくれました。
その上で、改めてそれぞれの意見を全員で見直し、結果的に今大切にすべきことに対して意見が一致し、進んでいくことになりました。
具体的には、「今は新たなコンテンツを始めるのではなく、私たちが全力でサポートできるこれまでのコンテンツを大事にしよう。でも時期がきたら、新たなコンテンツを改めて一緒に考えていこう」ということになったのです。
意見が異なっていても、「あなたはその意見なんだね」ということを受けとめ合った上で、今の最善を全員で考える。
私たちが出した結論に辿り着くまでに、チームメンバーは全員が発言したし、その時感じていたことも伝えました。
そして全員が「納得」した状態で、各々の具体的行動を決めて、そのミーティングを終えました。
いかがでしょう。
そんなの難しい…と思われますか。
私たちも最初からこんな風に言い合えるチームではありませんでした。
誰かの意見を否定するということはありませんでしたが、「反対されるかも」と思ってなかなか言い出せなかったり、「こんなこと言ったらわかってないと思われるかも。恥ずかしいから言えない」ということも沢山ありました。
また否定されていないけれど「否定されたような気がする」と思い込んでいたことも、私にはありました。
しかしチームメンバー全員で「心理的に安全な場」を目指して行動してきた結果、「自分はここで意見を言っても受けとめてもらえる」「みんなの意見も受けとめられる」「自分の正直な気持ちを言っても大丈夫なんだ」と、少しずつ思えるようになってきました。
その結果、「このチームで自分の力を発揮したい」「このチームにいられて良かった」という想いが増してきて、さらに「このチームでならこんなことしたい」といったことも話し合えるようになってきたのです。
では、具体的に何を大切にして何をしてきたか?
次回はそのお話をしたいと思います。
お楽しみに。