【心理的安全性 連載】③心理的安全性が高まることで期待される7つのメリット

これまでの記事で
①心理的安全性とは
②心理的安全性を阻害する4つのリスク
についてお話してきました。

前回は、「心理的安全性」が低い場で起こりがちなリスクには主に4つあるというお話をしましたが、では逆に「心理的安全性」が高まるとどんなことが起こるのでしょうか。

まずは、「心理的安全性」についてのおさらいです。
「心理的安全性」とは、
「あるテーマについて、互いに気兼ねなく発言し合える雰囲気のこと。
 自らの発言に対し、非難されたり、無視されたりすることがないことをチームメンバーが理解していて、積極的に議論をしようとする風土が醸成されていること」

①心理的安全性とは の中でご紹介した、エイミー・C・エドモンドソン教授の著書「チームが機能するとはどういうことか」の中には7つのメリットが期待されると書いてあります。

そのままだとちょっと捉えにくい部分もありますが、そのままご紹介したいと思います。

1.率直に話すことが活発になる

報告はもちろん、質問やちょっとした思いつきを話しやすくなります。
それは「ここで話しても大丈夫」という「心理的に」「安全」な場であるから。
そしてそういう場であると、ミスについても話しやすくなり、結果的にそれを踏まえてチーム全体がよりよくなっていこうという流れに繋がってくる、と言われています。

2.考えが明晰になる

「これを話しても大丈夫だろうか?」「空気が読めないと思われないだろうか?」
そういった考えを持ちながら仕事をしていると、今議題に上がっていることや、本来伝えなければならないことへの注意力が削がれ、そちらにいくらかのエネルギーを注ぐことになります。
しかし、そんな不安や心配が軽減したらどうでしょうか。
そこで話されるべきことに集中でき、今取り組むことへ力を注ぐことができます。
それが結果的に、考えが明晰になることに繋がります。

3.意義ある対立が後押しされる

ちょっと分かりにくい表現かもしれませんね。
これは、「意見の相違」を建設的に議論できる。ということだと捉えています。
意見が違っていても「自分とは意見が違うんだな」と、まずはそのまま受け止める。その後、それぞれの意見を持ってこのチームの今の最適解へと議論を交わす。
意見が違ったときにありがちなのが、人格否定やその人への攻撃です。
違うのは「今の意見」であって、その人自身ではないという前提が、チーム全体にあると、活発な議論が交わされることになります。
対立は「自分たちのチームをよりよくするもの」だと捉えられるからです。

4.失敗が緩和される

これも少し分かりにくいかもしれませんね。
つまり、ミスの報告がしやすく、その結果「この先どうしたらいいか」といった話し合いへスムーズに移行するということだと私は考えています。
研究の結果、心理的安全性の高い場では、ミスの“報告数”は多くなったという結果があります。それは大きなミスになる前に全体で情報を共有し、次へ繋げるための糧としているということになりますね。

5.イノベーションが促される

イノベーションとは、つまり技術革新の意味で、今までになかった新しいモノを世の中に出すということのような気がしますが、この場合はもう少し気楽に捉えてもいいと思っています。
ふと発言した○○さんの意見が斬新なアイディアに結びついたり、みんなの話し合いの中で出てきた意見から新たな可能性が生まれたり。そういったことが起こりやすくなる、というイメージです。

6.成功という目標を追求する上での障害が取り除かれる

これはつまり、「チームの共通目標の達成に集中できる」ことだと、私は捉えています。
自分のことだけに集中してしまうことも時にはあるかと思いますが、心理的安全性が高い状態であればチームで協力して達成すべき目標を共有し、そこに向けて全体で協調しながら進んでいくことができるのではないでしょうか。

7.責任が向上する

それぞれが自由に発言できるからといって、自由気ままに好き勝手にやっていくということにはつながりません。
チームメンバーがチャレンジすることを支援し合い、様々な場面において「このチームでは安心して発言できる」という安心感を持ちながら行動していくとき、そこには個々の責任感が増していくのではないでしょうか。
この項目については、私たち「よさがみえるラボ」のサイトにて少し具体的に説明した記事がありますので、よろしければご覧ください。

というわけで、今回は「心理的安全性」が高まることで期待される7つのメリットについてお話しました。

ご自分の職場やチームで「もし心理的安全性が今より高まったら?」という問いを、ご自身や話しやすい仲間、またはチームに投げかけてみてもいいかもしれません。

  • チームにこんないいところがあるんじゃないかな
  • 自分はこんな状態でいられる気がする

など、イメージが湧いてくるかと思います。


今回は主に本に沿った内容をご説明しましたので、次回の記事では「チームにおいて心理的安全性が高まったら?」という具体的な事例をお話したいと思います。