ケアズ・コネクトで実現!ずっと働き続けたい介護現場「グランデージ和泉」のICT活用術!

~誰一人欠けてはいけない大切な仲間と作り上げる現場~
大阪府和泉市「グランデージ和泉」

2025年には5人に一人が75歳以上の超高齢社会に突入する中、2022年は介護従事者が業界から離れ、他業種に転職しているという報道も出ています。
このような中、過去3年間、介護職員がほぼ辞めていない大阪府和泉市にある「グランデージ和泉」さんを訪問してきました。
スタッフのモチベーションをどのように高めているのか、何を大切にしているのか。
ICTの活用を含めた職員が辞めない秘訣に迫ります。



榊原 敏之氏
グランデージ和泉 施設長 サービス事業管理者

介護福祉士・主任介護専門員。22歳の時に入浴介助を
きっかけに介護業界に参画。

介護事業所での介護士、ケアマネージャー、施設管理者を経て、2013年にグランデージ和泉の施設長に就任。


左:石原 靖菜さん
(介護職員初任者研修)

中央:濵先 千裕さん
(介護福祉士・認知症ケア専門員)

右:仙名 千尋さん
(介護福祉士) 


聞き手:飯田 友一 
株式会社ブライト・ヴィー 代表取締役社長 

1999年立命館大学 政策科学部卒業。富士通で9年勤めた後、フリーランスエンジニアとして独立。

「介護施設向け労務/コミュニケーションシステム構築」を通じて芽生えた「ICTで介護現場の力になりたい」思いを軸にライフワークとして介護ICTに携わる。

2014年2月 株式会社ブライト・ヴィーを設立、
2023年6月トライトグループに参画。


介護業界に入ったきっかけと、仕事の原動力

(飯田)「グランデージ和泉」さんでは、介護職員の皆さんがとても生き生きとお仕事されている印象です。
皆さんが介護業界に入られたきっかけと、この仕事を続けていこうと思った原動力はどこにあるのか教えてください。

(榊原)当初、介護とは全く別の業界で仕事をしていましたが、妻が託児所で生きがいを感じながら保育の仕事をしている姿を間近に見て、「誰かの役に立てる仕事がしたい」と介護業界に飛び込みました。高齢者の方の入浴やオムツ替えは不思議と抵抗がなく、気づいたら夢中になって介護の技術を習得していました。
その後、就業したデイサービスでは、入居者の方に少しでも楽しい時間を過ごして貰うために、
その方々が生き抜いた第2次世界大戦前後の歴史や文化、当時流行っていた歌や映画を必死で勉強したところ、「あんたの話を聞くと勉強になる」「あんたの話を楽しみに来た」と言ってもらえることが
増え、モチベーションになりました。30歳の時には「介護職のプロを追求したい」という思いで、
この業界で生きていくことを決めました。
そこから20年以上、ブレることなく、今日まで楽しく仕事を続けています。

(濵先)私は17歳の時、
入院中だった祖父の介助をした時の嬉しそうな姿が強く印象に残り、介護職に興味を持つようになりました。ヘルパーの資格を取得し、7年前からグランデージ和泉で介護職員として働いています。
サービス付き高齢者住宅では、生活の様々なシーンを利用者さんと共にすることから、家族と接するような対応やコミュニケーションを大切にしています。業務の一貫というよりも、この方のためにしてあげたい…という自然な思いがモチベーションになっています。

(石原)グランデージ和泉に来るまでは、介護に携わったことはなかったのですが、
介護業界で「おもてなし」という考えを実践している事に興味を持ち入職しました。認知症の方のお話を聞き、「こうですか?」と自分なりに理解した内容を伝えてみたり、昔のお話を聞かせてもらったり、私とのコミュニケーションによって、少しでも利用者さんの脳の活性化につながれば良いな、回復すればよいな、という思いで想像力を膨らませながら対話をしています。
「あなたがいてくれて楽しいよ」と言ってくれる事がとても力になり、頑張れているように思います。

(仙名)高齢者との関わりが濃い地域で育った私にとっては、親戚がケアマネージャーだった事も重なり、介護や福祉は身近な存在でした。
「向いているかもしれない」と思って、進学の際に福祉を専攻したのがきっかけですが、そこから11年以上この業界に携わっています。グランデージ和泉に入職する前は、特別養護老人ホームで働いていましたが、違う経験を積んでみたかったのと、プロの介護職として目指すべき施設の方向性に深く共感し、入職しました。

介護をする上で大切にしていること

(飯田)皆さん、それぞれの思いでこの業界に入られたのですね。
介護は一人一人の人生や命と向き合うお仕事であるが故に、日々悩み、大変なことも多いと思います。皆さんが介護をする中で大切にしていることがあれば教えてください。

(濵先)日々の介護現場で主にコミュニケーションを取るのは利用者さんですが、その周りには常にご家族がいらっしゃいます。私たちの介護は全て「ご家族があってこそ」であり、その場しのぎの対応では何も成立しませんし、私たちの対応一つでご家族と利用者さんの関係に何らかの影響を及ぼすこともあります。
だからこそ、利用者さんには家族のように接し、一人一人への個別ケアを私自身はとても大切にしています。施設には認知症の方もいらっしゃいますが、症状に関わらずご本人の意思や希望をしっかり聞いて理解することと、どんなに自分の業務が詰まっていても、優先順位をその場で考えて判断することも介護士の仕事だと考えています。
例えば、「今、お手洗いに行きたい」と言われた時に後回しにしてしまうことで、介護職員の目が届かないところで利用者さんが一人で歩いてしまい転倒事故に繋がるリスクもあります。
利用者さんの「これがしたい」という気持ちを第一に考えるように努めています。

(仙名)私も利用者さん思いのケアを第一に考え、その大前提を絶対に忘れず仕事しています。
その中でも特に気を付けていることは、私たちは介護職である以前に、人間として、人との関わり方を大切にすること、つまりは、自分たちとは違う経験をたくさん積んでいる方の人生に寄り添うことです。
色々なお話を伺う中で、どういう生活を送ってこられたのか、何を大切にしてこられたのかを汲み取って、それに対するケアができたらいいなと思っています。幸い、この施設では私がずっと理想としていたケアに近い形で携わらせてもらえています。

(濵先)介護現場では、これまで普通に歩けていて車いすや排せつ介助も必要なかった方が急に寝たきりになる、ということもあります。ご家族からは、本人が少しでも快適に過ごせるようにできることは全部やってほしいと要望されるのですが、ご本人の気持ちを考えると、少しでも元の生活に戻してあげたい、と思います。
家族に安心してほしい、ご本人の自立を促したい、この2つの思いが交差し、どちらの思いも100%(平等に)汲み取ることは正直難しいと感じています。迷いが生じる時に大切にしていることは、ご本人の意思です。たとえ認知症の方であっても、ご家族とケアマネージャーにそこをしっかりと伝えて話し合い、ご家族と利用者様双方のお話を聞いて安心させてあげる、介護の質は、まさにそういったコミュニケーションの追求だと思います。

劇的に下がった離職率、職員定着のICT活用術

(飯田)利用者さん一人一人の人生に寄り添う介護を実現するためには、コミュニケーションが大切であることを私自身も介護現場を見て感じてきましたし、ICTの活用によって、そのコミュニケーションのサポートが少しでもできると良いなという思いをずっと持ってきました。

グランデージ和泉さんは、この数年で職員の皆さんの離職率が劇的に下がったと聞いていますが、定着してもらうための工夫、その中でICTをどのように活用しているのかについて教えもらえますか。

(榊原)色々ありますが、長く幸せに働くために一番のベースは「勤怠」だと思います。まず、有給が取れない、休みの日でも会議に出ないといけない、行事に参加しないといけない、といった状況を改善してきました。その実現のために、ブライト・ヴィーの「ケアズ・コネクト」の勤怠の仕組みを取り入れ、圧倒的に管理が楽になりました。また、出勤したら1ポイント、休みの日に美味しい食べ物の写真をアップしたら2ポイント、参考書の購入や研修への参加で3ポイントなどと、私が職員の行動に対してポイントを付与できるのも「ケアズ・コネクト」の嬉しい機能です。

有難いことに、毎日投稿が上がって来て私も遊び心を交えながらコメントしています(笑)。

自分の仕事をしていると、職員の悩みに気づけない時がありますが、退勤時にその日の気持ちをスタンプで入力できる仕組みも意外と役立っているように感じています。
以前は全員がニコニコマークだったのが、最近ではしんどいマーク、悲しいマークも増えてきて、正直な気持ちをシェアしてくれていることが嬉しいと感じますし、「この人ちょっと元気なさそう」と思ったら、皆で声かけをする機会も増えました。導入後約2年間で、スタッフとのコミュニケーションは劇的に変わりました。

(飯田)「ケアズ・コネクト」をユニークに活用頂いていますね。特に、勉強したことにポイントを付与するというのは目から鱗で、社員のモチベーションを本当の意味で作っていることに驚きました。実務で役立っているといった点は何かありますか?

(仙名)自分が出勤する前日か当日の早朝に、利用者さんに変わったことがないか、引継ぎ情報を確認するようにしているのですが、予定や申し送り情報を「ケアズ・コネクト」で自宅から閲覧できるのが凄く便利です。これまでは早朝出勤して、全て紙のファイルで見ていましたが、いつでも、どこからでも見れる事は、効率的な働きやすさに確実に繋がっています。
勤務時間外は利用者さんの情報通知等をOFFにできる仕組みもあるようですが、私は利用者さんの状態が気になるため、勤務時間外もONしていることが多いですね。

(飯田)介護職の皆さんが安心して働ける環境がとても大切で、グランデージ和泉さんではその工夫が様々な方面からなされていますね。介護職の方々をどのように教育し、対応していますか。

(榊原)同じ方向性、考え方、プロセスで教えることで新人が迷わないように、OJTの担当は濵先と介護リーダー2名の合計3名と決めています。
離職原因で一番多いのが、「人間関係の悪化」ということをよく聞きます。何故、その作業をしなければいけないのか、何故、注意を受けるのかといった根本的な考え方に納得がいかなければ、職場の先輩への信頼を失ったり、人間関係が悪化したり、仕事への不満につながるといったリスクが発生します。

また、現場で「何が起こっているのか」の本質を分別し、見極めることも、管理者側として気を付けていることです。
実は、介護職の性格や経験値はそれぞれ違いますし、報告の仕方も大きく異なります。ある人は結果だけ、別の人は1から10まで報告する、ある人は「次やってみます」という、別の人は「分からないです」という中で「ここは信用しよう」「ここはもう少し聞こう」など、踏み込むべきポイントをその都度、判断できる技術が濵先や私の立場の人間に求められると感じています。

介護職とはなにか?

(飯田)私自身が介護ICTを開発する中で、現場の方々に教えてもらうことがとても多く介護職はとてもクリエイティブな仕事だと感じてきました。グランデージさんが考える介護職とはどんなものですか?

(濵先)介護の専門性や医療の知識を身に付けることは当然だと思いますが、それ以上に
「人としてのありかた」「社会人としてのありかた」の基本が何より大切だと思っています。
榊原施設長は医療から介護の知識と経験が深いので、様々な事例や考え方を教えてもらい、
「介護のプロ」とは何なのかということを日々考え、
管理職になった今も、介護職という領域の深さと広さを学んでいます。

(榊原)介護職は優しいからできるものでも、若ければできる職業でもありません。
実は20代の頃、ある人に「お年寄りのオムツ替えの仕事なんか楽しいのか」と言われたことがありました。その一言にやる気がなくなってもおかしくない状況ですが、その時自分は、カンナ職人のような「介護の職人(プロ)」になることを決意しました。
医療や福祉の領域を必死で勉強し、現場での経験を豊富に積んでいく中で少しずつ「プロ」になっていきます。決して御用聞きや便利屋ではなく、いかに危険予知ができるか、利用者さんが100人いれば100通りのアプローチがある中、どのようなコミュニケーションができるか、介護に求められる事は、あらゆる情報を駆使して、利用者さんと共に創り上げていく「想像力」であり、「創造力」なのです。

例えば、高齢者介護はもはや認知症とセットです。進行の度合いによりますが、認知症は決して特別な病気ではなく、今は高齢者の5人に1人と言われる身近なものです。

認知症を語れずして、未来の介護はないといっても過言ではありません。
認知症の人たちはその世界の中で自分の判断基準がありますので、私たちもその世界観を理解し、そこに自らが入っていかなければなりません。その難しさに対応していくのがプロなのです。濵先は既に合格していますが、全員に「認知症ケア専門士」の資格を取得してほしいと思っています。

(飯田)介護職はいかに専門性が高く、クリエイティブでやりがいのある仕事であるかがよく理解できました。

また、介護を必要とする高齢者が増えている中、グランデージ和泉さんのような
「続けたい」「モチベーションが持てる工夫」
がある施設が全国に増えていくと良いなと思います。

今日はありがとうございました。